酸化物エレクトロニクス研究室
- 永井 裕己 准教授
多彩な機能を示す未来のデバイスを作成する
ガラスなどの基板に溶液を塗り、熱や光で機能する薄膜を形成する研究を行っています。形成した膜は、いずれも毛髪の1/1000程度の厚さで透明です。それらの膜は、通電、発熱、発電、抗菌、防汚、防曇などさまざまな機能を有し目に見えないところで活躍します。例えば、一見窓ガラスのように見える太陽電池として機能する膜ができるかもしれません。私たちの研究室では、そのような未来の材料、デバイスを研究しています。今後は複合材料とエネルギー材料の研究に力を入れていきたいと思っています。複合材料は、異なる性質をもつ材料をかけ合わせることで互いの利点を併せた新材料になる点が魅力的です。一般的には困難な複合材料の形成を、溶液で簡易化することを目指しています。そして、国際的に問題となっているエネルギーについても、薄膜で解決に貢献できればと考えています。
本研究室では、週1回ゼミを実施しています。コロナ前には、春と夏にゼミ合宿を行っていました。最近では長野で開催された展示会にも参加し、学生の研究成果を展示しました。
当研究室で大切にしているのは、自分で考えて実験をすること。学生が「自由に実験できること」が重要であり、教員はその実験に対してアクセルを踏むか、ブレーキを踏むかの判断役でしかありません。もちろん安全であることは前提となりますが、自由度の高さを大切にしています。
研究室所属学生メッセージ
増田 竜弥(4年)
本研究室では、大学で開発した分子プレカーサー法を用いて機能性薄膜を形成する研究を行っています。この方法は薄膜形成コストが低く、製品にしたときの利点が大きいなど、企業目線の研究を行っていることに魅力を感じました。また研究室見学の際に、先生と学生の距離が近く、研究室全体が明るい雰囲気であったことも印象に残ったためこの研究室を選びました。実際に入ってからは先輩や先生に気軽に相談でき、メリハリをつけ楽しく研究生活を送っています。私の研究内容は、分子プレカーサー法による簡単かつ安価なSWCNT/Cu膜の形成です。これは新しい配線材料として期待されており、大規模集積回路に用いることで回路の小型化、自動車には燃費の向上が期待できます。現在膜の形成は達成しており、今後は抵抗率を低くすることが課題です。